企業の農業参入のパターン
一般の企業等が農業に参入する方法を検討する際にポイントとなるのは、「農地利用の有無」です。主なパターンは、次のとおりです。
一般の企業等が農業に参入する方法を検討する際にポイントとなるのは、「農地利用の有無」です。主なパターンは、次のとおりです。
「農業生産法人」とは、”農業経営を行うために農地を取得できる法人”であり、農地法3条許可により農地の所有権、賃借権、使用貸借権等の権利取得が可能となります。
なお、農業生産法人となるには、(1)法人形態要件、(2)構成員要件、(3)事業要件、(4)業務執行役員(経営責任者)要件の全てを満たす必要があります。
現在の会社のままでも、農業生産法人の要件を満たすことなく、農地の賃借権、使用貸借権を取得することができます。ただし、農地の所有権はありません。農地の権利取得を行う場合には、農業委員会に対し農地法第3条に基づく許可申請が必要です。
許可要件
農地を利用しない、農地の権利を取得しない場合は、農地法の制限はありません。
水耕施設、菌床しいたけ、養豚や養鶏などは農地を利用しないので、現在の会社形態のまま参入することができます。
耕耘や収穫、調製などの農作業を請け負う場合は、農地法の制限はありません。
よって、作業料金を設定し、地域の農業者から農作業を受託する場合は、現在の会社形態のまま参入することができます。(例)米麦の乾燥・調製、無人ヘリによる防除など
次のいずれかの形態であること。
構成員(出資者)となれるのは、次のいずれかであること。
なお、6.については、会社法人にあっては議決権が制限され、株式会社では6の構成員全体が有する議決権の合計は総議決権の四分の一以下に制限されます。なお、平成15年の農業経営基盤強化促進法の改正により、農業経営改善計画の認定を受けた農業生産法人(認定農業者)については、特例として認定期間(5年間)に限り、6の構成員(関連事業者等)が行う出資について、総議決権の2分の1未満までは認められることとなりました。また、平成21年の農地法改正により、6の構成員の内当該農業生産法人と連携して事業を実施する一定の関連事業者(農商工連携事業者等)についても、総議決権の2分の1未満までの出資が認められることとなりました。
主たる事業が農業と関連事業(法人の農業と関連する農産物の加工販売等)であり、その売上高が過半であれば他の事業も行うことができます。
次の要件を満たすこと。
農事組合法人の場合、農業協同組合法によって事業内容、組合員(構成員)の資格等が定められており、同法の規定を受けます。
農業生産法人の要件は、農地の権利を取得した後も満たされていることが必要です。要件を満たさなくなれば、最終的に農地が国に買収されることとなります。要件の適合を確認するため、次のような措置が設けられています。
農業生産法人は、毎事業年度の終了後3カ月以内に、事業の状況等を農業委員会に報告しなければなりません。報告をせず、または虚偽の報告をした場合には30万円以下の過料が科せられます。
農業委員会は、農業生産法人が要件を満たさなくなるおそれがあると認められるときは、法人に対し、必要な措置を取るべきことを勧告できます。この場合、法人から農地の所有権を譲渡をしたい旨の申し出があったときは、農業委員会はあっせんに努めることとされています。
詳しくは、お近くの農業委員会にご相談ください。
「特定法人貸付事業」は、平成17年9月の農業経営基盤強化促進法の一部改正によって創設されたもので、構造改革特区における「農業生産法人以外の法人による農業経営」(いわゆる「リース特区」)を全国展開したものです。