(1)林業の現状
森林所有者は、今苦しんでいます。
30年前のスギ木材価格は1m³当たり4万円で、生産・流通コスト1万円を差し引いて3万円が所有者に返還できていました。しかし、最近のスギ1m³当たりの価格は1万円と30年前の1/4になり、生産・流通コストを差し引くと森林所有者には千円程度しか残らないような状況になっています。つまり森林所有者の手取りは1/30にまで激減してしまいました。
このため、森林所有者は経営が困難になっており、放置される森林が増加しています。
森林資源は、充実しています。
愛媛県でも、全国と同じように戦後植栽された資源が順調に成育し、資源として充分活用できるまで成長しています。
国産材の需要は、伸びています。
近年、新興国の経済発展と原産国での木材加工の進展から外材の輸入価格が高騰し、日本の製材業界は国産材の安定的な供給を望んでいます。
林業の担い手は不足しています。
林業事業体で働く担い手は、長期にわたる木材価格の低迷と高齢化によって人数が減少しており、ここ5年間は1,100人程度の就業者数となっています。
森林整備に対する期待は高まっています。
近年、森林の持つ公益的機能に対する関心が高まり、特に地球温暖化防止対策として森林整備が必要と言われており、公共事業(治山・造林補助事業)については十分な予算措置がされています。
これらのことから、林業では
- 施業集約化や高性能林業機械の導入による低コスト化と生産性の向上
- 高性能林業機械による搬出技術など時代の要請に即した労働力の確保
が喫緊の課題となっており、これをクリアーできるなら異業種からの参入チャンスは多いと思われます。